国際学叢書

宇都宮大学国際学部 国際学叢書

第14巻:外国人生徒の学びの場 ―多様な学び場に注目して―
本の表紙

佐々木一隆・田巻松雄 編

208頁/下野新聞社/2023年3月

本書は、外国人生徒の学びの場について、多様な学び場があることに目を向けた様々な人たちが共同執筆したものである。三部構成で、I部(夜間中学、定時制課程、特別定員枠校)は日本と海外の学校に、II部(学校以外の学びの場)は自主夜間中学、移民団体、外国人学校、外国人教育相談窓口に、III部(排斥、排除、壁)は様々な排斥行動、学びからの排除、日本語習得の壁に焦点を当てて論じている。全11章の論考に加え、コラム、座談会もあり、随所に組織的な共同研究の成果が見られる。

第13巻:奪われたくらし 原発被害の検証と共感共苦(コンパッション)
本の表紙

髙橋若菜編著
清水奈名子、阪本公美子他

315頁/日本経済評論社/2022年3月

揺らぐ被ばく防護基準、住めないふるさと、避難さえも「自己責任」とされる現実。福島原発事故による避難の苦悩や避難先での生活の困難を、新潟県の調査を中心に明らかにする。

第12巻:From Foreign Child to Illegal Immigrant: The Case of T, a Brazilian Man of Japanese Descent Who Lived in Japan for 20 Years
本の表紙

田巻 松雄(単著)

160頁/下野新聞社/2021年8月

T is a Brazilian of Japanese descent who came to Japan in 1998 at the age of 10 years. He stopped attending school shortly after entering junior high school, and thereafter, he was involved in a repeated pattern of delinquency and crime. While in prison, he lost his status of residence as a long-term resident and became an illegal overstayer. After spending about three years in an MOJ(the Ministry of Justice)Immigration Control Bureau detention center, he was deported to his home country of Brazil in November 2019. This book focuses on T as an individual to closely examine his twenty years in Japan.

第11巻:激動するグローバル社会 「慈善」から「公正」への発展と展開
本の表紙

重田 康博(単著)

320頁/明石書店/2017年3月/宇都宮大学国際学部叢書

本書は、急激にグローバル化する21世紀の国際社会の中で、グローバル市民社会の発展の理論と実際を検証し、NGOをグローバル市民社会が、戦争被災者や難民への人道支援活動としての「慈善」からその活動を質的に変化させ、貧困・援助・貿易・債務・格差など南北問題やグローバルな構造的な問題の根本的な背景や原因を分析し、問題の解決に向けての活動を活発化し、専門化し「公正」を求める活動へと発展し、展開した過程を検証している。

第10巻:ある外国人の日本での20年 ―外国人児童生徒から「不法滞在者」へ
本の表紙

田巻 松雄(単著)

206頁/下野新聞社/2019年11月/宇都宮大学国際学部叢書

ある日、著者の元に届いた便せん一葉の手紙。それは入管施設に収容されている外国人Tからの手紙だった。その日から始まったTとの交流。往復書簡に記されていたのは、形容しがたい20年に対する心の叫びだった。10歳で来日したTは、楽しそうに小学校生活を送っていたという。そんなTが中学校で不登校になり、非行・犯罪に走ったのはなぜか。非行・犯罪の事実はTの人生をどこまで縛っていいものなのか。Tの姿を通じて、「外国人児童生徒の転落」と「入管施設での外国人の長期収容」の実態を問いかけた。

第9巻:共生のための言語教育と多文化教育日中同形語の語義転用からみる日中間の発想の相違点と類似点
本の表紙

戚傑(単著)

80頁/2016年3月/宇都宮大学国際学部叢書

日本語と中国語の同形語について、その本来の意味からの転用の違いを研究することで、その背景となるそれぞれの国の政治、文化、社会が見えてくる。本書は、日中同形語の語義転換に関する分析結果を踏まえて言語教育・多文化教育のあり方を考察する。

第8巻:原発避難と創発的支援活かされた中越の災害対応経験
本の表紙

髙橋若菜、監修
田口卓臣、松井克浩

214頁/本の泉社/2016年3月/宇都宮大学国際学叢書

十数万人もの避難者を生みだした福島原発事故。この未曽有の事態にいち早く対応し、次々に有効な支援を打ち出した地方自治体があった。かつて、中越・中越沖の震災を経験した新潟県である。行政・中間支援組織をあげて、原発避難者の声なき声に耳を傾けた新潟県の全面的なサポート体制は、「支援とは何か」、「危機に立ち向かう知恵とは何か」を私たちに問いかけてくる。「ビッグブッダハンド」、「底辺ガバナンス」、「エンパワーメント」―過去の災害対応経験から編み出された豊かな経験知の現場に迫る、『お母さんを支えつづけたい―原発避難と新潟の地域社会―』に続くシリーズ第2弾。

第7巻:離島エコツーリズムの社会学隠岐・西表・小笠原・南大東の日常生活から
本の表紙

古村 学(単著)

296頁/吉田書店/2015年3月

エコツーリズムは、自然保護、観光開発、住民参加などグローバルな「正しさ」を備えている。このグローバルな「正しさ」を、ローカルな場である離島、そこに生きる人びとの日常生活から、批判的に読み直す。地域づくり、観光開発といった皮相な見方を排して、離島社会の実像をえがく。

第6巻:第二言語によるパラフレーズと日本語教育
本の表紙

鎌田美千子(単著)

152頁/ココ出版/2015年2月

本書では、日本語でレポートや論文を書く留学生への教育方法を議論していく上で欠かせないパラフレーズ(言い換え)に関する5つの実証研究をもとに第二言語による困難点を解明した。語句レベルを中心とした従来の教育方法に対して、文章レベルでの包括的な視点が必要であることを論じた。ココ出版「日本語教育学の新潮流」シリーズの一冊。

第5巻:越境するペルー人外国人労働者、日本で成長した若者、「帰国」した子どもたち
本の表紙

田巻松雄 スエヨシ・アナ(編)

229頁/下野新聞社/2015年3月

南米諸国のうち、日本といちばん最初に国交を樹立した国ペルー。日本に出自を持つ日系人が日本以外の国で初めて大統領に選出された国ペルー。1990年前後の出稼ぎブームの中で、ペルー人が来日し始めてから20数年が経った現在、約5万人のペルー人が日本に暮らしているが、ペルー人に関する先行研究は極めて限られている。本書は、ペルーにルーツがある人々のうち、外国人労働者として日本で暮らしてきた人々、日本で成長し大人になった若者、「帰国」した子どもに焦点を当て、丹念なインタビューとアンケートにより「越境するペルー人」のリアルな姿を描き出す。

第4巻:地域のグローバル化にどのように向き合うか‐外国人児童生徒教育問題を中心に‐
本の表紙

田巻松雄 著、HANDSプロジェクト 協力

A5判/208頁/下野新聞社/2014年 3月

定住化する外国人児童生徒は「下層」として固定化されていくのか、日本の将来を背負う「グローバル人材」に成長していくのか。本書は、「多文化共生と外国人労働者問題」、「外国人児童生徒教育問題の諸相」、「HANDSプロジェクトの実践」の3部から構成される。外国人児童生徒教育問題についての地域の実態調査結果報告および実践記録である。

第3巻:平安期日本語の主体表現と客体表現
本の表紙

高山道代 (単著)

200頁/ひつじ書房/2014年2月

本書は平安期日本語動詞述語文の主要な格である主語表示および対象語表示の形態についての記述的研究の成果であり、この時代の日本語における名詞句の格システムの一端を明らかにしたものである。さらに、名詞句の文法的諸側面について類型学的な観点もとりいれ分析を加えることによって、平安期日本語の主体表現と客体表現の特徴を明らかにし、古代日本語研究への提言をおこなう。

第2巻:オマーンの国史の誕生オマーン人と英植民地官僚によるオマーン史表象
本の表紙

松尾昌樹(単著)

206頁/御茶ノ水書房/2013年2月/宇都宮大学国際学叢書

英植民地官僚による歴史の簒奪と、オマーン亡命政府による自己表象。オマーン史の産出と伝達、そして隠蔽と忘却の痕跡を、多様なテクストから読み解く。

第1巻:冷戦後の国連安全保障体制と文民の保護多主体間主義による規範的秩序の模索
本の表紙

清水奈名子(単著)

260頁/日本経済評論社/2011年2月/宇都宮大学国際学叢書

武力紛争下の文民(戦闘員以外の民間人)の保護が、なぜ冷戦後の国連安全保障理事会において注目されるようになったのか。平和維持活動に文民保護の任務が取り入れられた経緯に着目しながら、その背後にある多様な主体の協働に焦点を当て、冷戦終焉後20年の間に積み上げられてきた議論を読み解く。