国際学部の教育理念

国際学部の目指す教育

21世紀が抱える課題はグローバル化の急速な進行により、非常に複雑なものになっています。資本の世界的展開、大量の労働力の国境を越える移動といったグローバル化と多文化化が急速に進む社会状況のなかで、格差の拡大、環境破壊、移民・難民問題、民族的・文化的衝突など前例のない課題が全世界的に生じています。また、企業の海外進出が加速する中、グローバルな視野から各地域の実情に対応した戦略を立案・実行する企業活動がより一層必要となっています。こうした変化を受けて、「多文化共生」を実現するために必要な知識、関心・意欲そして行動力を備える21世紀型グローバル人材(グローカル人材)の育成が、社会的に広く要請されるに至っています。国際学部では、こうした要請に応えるために、また、世界の様々な地域の国際的分野で活躍するために、多文化共生に関する専門的な知識・技術に加えてチャレンジ精神や行動力等を兼ね備えた、「グローバルな実践力」を持った人材を育成します。

「グローバルな実践力」として身に付けることが必要な能力は、世界の様々な地域で見られる多文化共生に関する専門知識と共に、豊かなコミュニケーション能力や行動力・協調性などです。具体的には、次の①~④の能力としてまとめることができます。

SKILL UP !!

  • グローバル化する地域の現状と課題を
    「多文化共生」の視点から読み解く力
  • 問題構造を踏まえて社会を構想していく力
    (価値選択・目標設定能力)
  • 他者との対話を通して自らの考えを伝え、
    協働し、交渉する力
    (コミュニケーション・複数言語運用能力)
  • 「多文化共生」の課題に職業・活動を通して
    貢献する意欲、知識と行動力

学部長からのメッセージ国際学部に関心をお持ちの皆様へ

国際学部長 中村 真

今だからこそ、国際学部で学ぶ意味を考える

国際学部長の画像

宇都宮大学国際学部は、人文社会科学を中心にした「学際的学び」、「複数外国語の修得」、「国際的実践力の養成」の3点を柱として教育を行ってきました。学際的学びを通じて、複雑なものごとを安易に単純化するのではなく、ありのままに捉え、多面的に分析し、総合的に考える力を養います。複数外国語の修得については、多くの皆さんが大学入学までに学んできた英語に加えて、フランス語、中国語、韓国朝鮮語、スペイン語から少なくとももう一つの外国語を学修することにより、世界の様々な人たちの考えの基盤にある言語の違いや共通点を、実感を持って認識する機会を提供しています。学際的な学びに加えて、複数の外国語を学ぶことは、世界が一様ではなく、同じ物事や出来事を異なるものとして捉え、考える人たちがいることに気づく機会になるとともに、共通点を知ることによって、そのような異なる背景を持つ人たちとどのように接し、協力していくかを考えるための大切な基礎になります。また、外国語の修得には時間と地道な努力が必要です。外国語を学修することは、皆さんが大学を卒業した後、生涯にわたり、自律的に新たな学びを続けていくための大事な力を養うことにつながります。このような自分で学ぶ力をつけることは、生成AIが活用される今だからこそ、一層重要になります。

さらに、コミュニケーション能力を含む国際的実践力養成のために、国際学部では、交換留学などの国際交流体験を支援するとともに、国際学部で学ぶために入学してきた海外からの留学生、日本国内に生活している外国にルーツをもつ学生、国内の様々な地域から集まった多様な学生や社会人学生が集い、ともに学ぶ場を提供しています。国際キャリア教育プログラムでは、国内外の課題や問題に対応し、その解決のために考える作業を通じて、キャリア形成に結びつけることをテーマにしています。このプログラムには、海外交流協定校の学生たちもオンラインで参加し、国際的学びの場を作り出しています。言語も文化的背景も異なる人たちとの交流と協働作業を通じて、課題対応のための国際的実践力を養うことができます。また、部附属多文化公共圏センターでは、これらの3つの教育の柱を研究や社会と結び付けつつ、実社会と連携して活動する様々なプロジェクトが、活発に行われています。これらの具体的な内容は、このパンフレットや国際学部のHPにおいて詳しく説明されていますので、ぜひ参照してください。

さて、ロシアのウクライナ侵攻から4年が経過し、2026年を迎えてからはアメリカやイスラエルも、国際法をないがしろにするような武力による現状の変更を繰り返す事態となりました。将来を予測することがこれまで以上に難しい国際情勢や社会状況になり、不安を感じている人は少なくないでしょう。国際学部での学びは、このような複雑で先を見通すことが難しい今だからこそ、これまで以上に重要になります。このような状況では、必ずしも一つの正しい答えがあるわけではありません。物事を単純化するのではなく、ありのままに捉え、多面的に考えることが重要となります。海外との交流が途絶えることがない以上、複数の外国語を理解し、運用する力は、海外の多様な人びととの交流のハードルを下げ、さらに、実践的な学びが、このように多様な人たちとも積極的に付き合い、ともに仕事をすることを可能にしてくれます。このような力は、国の内外を問わずすべての国や地域で、またあらゆる職業に共通する重要な要素です。

国際学部は、1994年の設置以来、3300人を超える卒業生を送り出してきました。卒業生たちは、国際的機関や組織、団体、さまざまな企業、メディア、国や地域の公務員や教員、など、国内外のあらゆる分野、職業で活躍しています。また、将来を見据えて、さらに専門性を高めるために大学院に進学する人も増えています。複雑で、予測することが難しい社会であるからこそ、そこで活躍するために、みなさんにも、是非、国際学部で学んでもらいたいと思います。