カリキュラム - 地域の大学連携による国際キャリア開発プログラム

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国際キャリア実習

令和元年度春期国際キャリア実習生の報告・発表内容

1. セワランカ財団(スリランカ)

報告発表のスライドはこちらから
 国際学部 国際学科 2年 菊池 蓮

【学んだこと】
 まず、自分自身が目的・課題としていたNGOの活動、海外における活動への理解という点から振り返る。NGOの活動という面については、実習前に想像していたよりも和やかな雰囲気で事業が実施されていると感じた。狭いコミュニティ内で同様の活動が2年以上行われているということもあるかとは思うが、セワランカのスタッフ・青年指導員と子供達との距離が近く、また教員との距離も近かった。日頃の交流や情報交換など、人と人との関係の重要性を強く感じた実習だった。
 次に、海外での活動という面に目を向けると、人間関係における発見が多かった。他宗教ではあるものの、仏教徒の多い国ということもあるのか、上下関係については厳しいように感じた。日本のように目に見えて顕在化する上下関係というのは少なかったが、教員同士のやりとりにおける態度や、インタビュー時の家庭内で、家族同士で気を使うような場面は何度か見ることが出来た。欧米においてはあまり気にしない、などと言われることもある上下の関係であるが、儒教や仏教色の強い文化圏では当たり前のように重視されているようである。海外で活動するとき、その土地の文化などをしっかりと観察し、自らの行いに反映させていくことが必要だと実感した。
 調査からは、自らがいかに現地の状況について理解不足であったかを痛感させられた。各家庭の細かい生活の状況のみならず、イブニングクラスなどの教育にまつわる事柄や、コミュニティと農園、企業との関係性などについても、セワランカの方から教えていただいて初めて知ることが多かった。学内においても、同事業に関連したUU-TEAプロジェクトにおいて活動を行なっているが、上記のような事柄を知らずに活動することと、知った上で活動するのでは、活動の方向性や現状の伝え方にも違いが生じるのではないかと感じた。

 【将来への影響】
 今回の実習そのものは、実習先の業務に完全に入り込むようなものではなかったものの、海外の働く現場というものの雰囲気ややり方などについては理解できたように思う。書類だけでは、日々同じ学校に同じ頻度で訪問し、アフタースクールを実施するということの繰り返しをしているように見えるものの、その繰り返しは積み重ねでもあり、同様のプログラムを継続しているからこそ、成果が出ていることを見て取ることが出来た。
 今後のキャリアを考えていく上でもこのようなことを意識することは大切なのではないだろうか。職業を選ぶ上でも、日々同様のことを繰り返す職業というのは、私にはあまり向いていないと考えていた。しかし、繰り返し積み重ねることが自分の能力の向上や成果につながると考えると、無条件に嫌がるのも適切ではないと感じた。
 また、今現在私が希望している報道系の職業にもつながる経験もあった。聞き取り調査で行なったことは、報道の世界における取材にも通ずるものがあったと思う。感情を持った人間を相手に、日々の生活の細かい点まで質問するというのは、実際に行なってみると、非常に難しく、精神的に苦しく感じることもあった。学生の段階で、少しではあるものの、こういった経験をすることが出来、自分にとっても非常に有意義な調査となった。
 海外においてインターンを行なったという面についても効果があった。私は今のところ、海外で仕事に就くということは考えておらず、国内の企業に就職することを目標としている。しかしその際、海外で仕事をする機会にも恵まれるような企業に入りたいと考えている。今回の実習では、文化や考え方の違う世界の中で、その土地の人々と行動を共にし、仕事をするという、自分にとって刺激となる経験ができた。国内で働いているだけでは中々経験することの難しいこういった刺激を、企業に就職してからも体感しながら仕事がしたいという思いが一層強くなった。

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 国際学部 国際学科 2年 須藤 晴香

 【学んだこと】
 以前、ラーニング・コモンズに紅茶農園の子供達の将来の夢の絵を展示していたのを手伝った事がある。その時も、警察やエンジニア、教師などになりたいという子が多かった。今回の実習において、インタビューの際、両親にとって子供には将来何になってほしいか、子供は何になりたいかを聞いたが、教師や警察という答えが多かったように思う。しかし、多くの場合、両親や家族はその機会がないということを言っていた。日本でも、機会の平等が損なわれてしまう事があるが、ここでは日本よりも機会が少ないということが感じられた。機会を得るために、お金が必要になる場合もあるだろう。そうなると、都市との格差がより広がってしまうのだろう。
 そして、この実習が私にとって、初の海外渡航となった。昨年度の海外フィールドワーク演習Iの受講やUU-TEAのポスターなどからスリランカについて知る事が出来る機会は多かったが、実際に行くことは話を聞くだけで学ぶこととは違った経験として自分の中に蓄積された。

 【将来への影響】
 この実習を通して、教育に携わるということを大学卒業後の進路の一つの可能性として考えるようになった。教育に携わると考えた場合、教師が一番に挙げられるが、アフタースクールの見学や小学校の教員とのインタビューを通して、「教育の場を整える」という教師とは異なる形で教育に携わっていきたいと感じた。今回の実習では、3つの小学校を訪れたが、物が不足しているということはどの小学校でも共通した問題となっていた。この状況下では、教員の仕事量が増加し、児童に割ける時間が減少してしまったり、児童の成長が平等ではなくなってしまったりする可能性が生じ得るのではないだろうか。教員の立場では十分に教育の場を整えることが難しい場合もある。そのため、この実習を通して、私は教員とは違う形で、次の世代が成長するための教育の場を整えるということを私自身の将来の一つの可能性として考えるようになった。

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 国際学部 国際学科 2年 本多 恵

 【学んだこと】
 実習先組織「Sevalanka Foundation(以下、セワランカ)」はNGO団体である。その実習先で感じ学んだことを、4つ述べる。
 第一に、セワランカの、学校や地域コミュニティ等の関係者との密な「連携」である。実習地で見学などをさせてもらった「放課後学習プログラム」は、3つの紅茶プランテーション農園内の学校で行われており、学校との協働プログラムである。さらに、対象学年の生徒たちの保護者や地域コミュニティからも理解や協力を得なければ実施できないプログラムである。授業や地域コミュニティでのインタビュー、「国際女性デー」のイベントに参加し、校長率いる教師陣や保護者を含めた地域コミュニティからの信頼が厚いことを感じ取った。その背景には、プログラム開始までの準備や、開始から今日までの2年間で行ってきた改善がある。そして実習中、上司が青年指導員もしくは学校関係者と携帯を利用して連絡を取り合う姿が多く見られた。直接学校に訪問した際も、教職員と話し込む姿が見られた。コミュニティへのインタビューも同様である。その話す内容には世間話も入っているかもしれない。しかし、その会話や1通のメールを送ることが信頼を築く大きな要素となり、密な「連携」、そして円滑なプログラム運営につながるのではと感じた。
 第二に、「時間」に対する「感覚の相違」である。先程述べた「放課後学習プログラム」の時間帯は、開始と終了がしっかりと定められていた。しかし、実習中に出席した2つのイベントは、開始時刻が大幅に遅れた。どちらも機材の不具合が原因であったが、セワランカ側にも主催者側にも慌てた様子はほとんど見られなかった。「これがスリランカタイム」という説明も直接受けた。日本の「時間」の感覚と比べると、「曖昧」という言葉が当てはまる。しかしながら、彼らには、時間の遅れに対しての「寛容さ」以上に、不測の事態に適応できる「適用能力」の高さがうかがえた。イベント終了時刻を考慮して、移動や式次第、挨拶などを変更する場面があった。挨拶も、日本のように原稿を準備し読むという方法ではなかった。その「時間感覚」には文化的要因も考えられるが、「予想外」への心の持ちようや「全てを準備することが必ずしも良いとは限らない」ということなど、実習先を含めスリランカで働く社会人から学ぶものは多くあった。
 第三に、「実現可能な計画づくり」の難しさである。見学した「放課後学習プログラム」の授業は、学年や生徒個人の学習能力に合わせた内容であった。黒板や電子教材の使い方、グループの作り方や席の配置なども細かに計画を立て授業を展開しているように感じた。対して、私たちが行ったワークショップや実践予定だった行動経済学手法は、準備不足と生徒やプランテーション農園の実情を見誤ってしまい、どちらも不完全であった。この実習先組織に限ったことではないが、この「実現可能な計画づくり」は、どの職業に就いたとしても、そして学校生活でも重要視されるものである。計画の内容でその後の過程も変化することも学ぶことができた。
 第四に、国際協力の「利」である。実習準備の段階から、セワランカというNGOやその「放課後学習プログラム」について知識を得て実習に臨んだ。しかし、実際に活動場所を訪れプログラムや人々の暮らしを伺うと、結果的にこのプログラムの目的(もしくは各段階の目標)を達成するための要因となる問題がいくつかあるように感じた。それについて考えるにあたって、最終的に国際協力の「利」がどこにもしくは誰に、そしていつもたらされるのか疑問を持った。この抱いた疑問を今後の勉学に活かせればと思う。

 【将来への影響】
 実習を終えて、実習を終えて、NGOなど、民衆と深く関わる組織や国際協力(開発)現場への関心がさらに高まったことを実感する。ただ、学校や地域コミュニティも国際協力の関係者である。今回の実習で、国際協力の現場に赴く職業だけではその支援は成立しないということを改めて実感することができた。そのため、NGOなどの市民社会団体以外の職業にも、国際協力と関連付けて興味を示すべきではないかと感じた。職業に関して新しい視点を見つけ出すことができた貴重な機会を得ることができた。


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