国際学部の教育理念

国際学部の目指す教育

21世紀が抱える課題はグローバル化の急速な進行により、非常に複雑なものになっています。資本の世界的展開、大量の労働力の国境を越える移動といったグローバル化と多文化化が急速に進む社会状況のなかで、格差の拡大、環境破壊、移民・難民問題、民族的・文化的衝突など前例のない課題が全世界的に生じています。また、企業の海外進出が加速する中、グローバルな視野から各地域の実情に対応した戦略を立案・実行する企業活動がより一層必要となっています。こうした変化を受けて、「多文化共生」を実現するために必要な知識、関心・意欲そして行動力を備える21世紀型グローバル人材(グローカル人材)の育成が、社会的に広く要請されるに至っています。国際学部では、こうした要請に応えるために、また、世界の様々な地域の国際的分野で活躍するために、多文化共生に関する専門的な知識・技術に加えてチャレンジ精神や行動力等を兼ね備えた、「グローバルな実践力」を持った人材を育成します。

「グローバルな実践力」として身に付けることが必要な能力は、世界の様々な地域で見られる多文化共生に関する専門知識と共に、豊かなコミュニケーション能力や行動力・協調性などです。具体的には、次の①~④の能力としてまとめることができます。

SKILL UP !!

  • グローバル化する地域の現状と課題を
    「多文化共生」の視点から読み解く力
  • 問題構造を踏まえて社会を構想していく力
    (価値選択・目標設定能力)
  • 他者との対話を通して自らの考えを伝え、
    協働し、交渉する力
    (コミュニケーション・複数言語運用能力)
  • 「多文化共生」の課題に職業・活動を通して
    貢献する意欲、知識と行動力

学部長からのメッセージ国際学部に関心をお持ちの皆様へ

国際学部長 中村 真

国際学部の魅力:創設30周年を迎えて

創設30周年と新しいミッション
国際学部長の画像

国際学部は、2024年10月に創設30周年を迎えます。創設にあたり、人材育成の目標として「実践的国際人」の育成を目指すこととともに、多様性や多文化共生、持続可能性といったあるべき社会の姿を示し、その実現に向けた教育研究を推進することを掲げました。これらの目標は、30年を経た今も色あせるどころか、その必要性が社会的にも認識され、ますます重要性を高めています。国際学部は、2022年に新たなミッションを設定しましたが、以下に引用するその前文においても、これらのキーワードを理念や目標として掲げています。

学部設置からおよそ30年を経過する現代において、特に、コロナ禍を受けて世界的に顕在化した分断や格差の拡大は、これまで構築されてきたグローバルな協力・協調関係の脆弱さとともに、その重要性を改めて示すことになりました。設置時に掲げられた「実践的国際人」育成の目的は、グローバル化した社会における共創を実現し、推進するうえで、これまで以上にその必要性を高めています。このような状況を踏まえ、国際学部は、深刻さを増すグローバルな問題・課題を、人文社会科学をはじめとした幅広い視点から理解し、国内外における多様なステークホルダーとの相互協力と連帯、共創により、その解決や対応に貢献することを目標として、「インクルーシブで持続可能な社会の実現に貢献する教育研究の推進」を新たな理念とすることにしました。対面・オンラインネットワーク双方において発揮される豊かなコミュニケーション能力と、複数言語の運用能力を備えることで、問題や課題への対応や解決に主体的、積極的に貢献しようとする、グローバル実践力を涵養するとともに、持続可能な開発目標(SDGs)を踏まえ、国内外のさまざまな地域における言語、文化、社会、政治、経済等の多様性を前提に、多文化共生に関する学際的な学びによって得られる専門的知識を活用し、必ずしも明確な答えがあるわけではない不確定な状況において、自らの思考の枠組みそのものを問い直す複眼的・批判的な思考力をもつ新たな「実践的国際人」の育成を目指します。(2022-27年度国際学部ミッション前文)。

国際学部の魅力:これまでとこれから

国際学部の特徴は、多様性、学際性、多言語という3つの言葉で表すことができると思います。国際学部は、留学生、帰国生、外国人生徒、社会人を対象にした入学者選抜を実施して、異なる背景をもつ学生のみなさんを受け入れています。国内の入学者は、北は北海道から南は沖縄まで、様々な地域からこの宇都宮の地に集まり、さらに、海外協定校からの交換留学生も加わり、共に学んでいます。教員の国籍もまた、様々です。このような多様な背景をもつ人の集まりが、複雑でありながら豊かな関係性を産み出し、グローバル化した環境を自然に体現することができるのです。

また、国際学部では、内外の様々な地域や国家、国家間関係を対象にした、思想、芸術、文化、文学、歴史、政治、経済、法律など、人文社会科学を中心にした、多岐にわたる学問分野の授業が開講されています。学際的な知識を獲得することで、より広い視野でものごとを見、考える力を養います。さらに、多言語は、多文化、多国籍などと言い換えることもできると思いますし、国際そのものとも言え、多様性と学際性の双方に深く結びついています。複数の外国語を学ぶことは、一つの外国語を学ぶだけでは気づくことができない、外国語の多様な差異や共通性を知ることにつながります。多言語を学ぶことは、そのこと自体が、他の国や他の文化を知ることであり、多角的な視点を身につけることでもあります。

これらの特徴は多くの入学志願者を惹きつける国際学部の魅力であるとともに、パンフレット冒頭で紹介されている卒業生へのインタビューでも示されているように、これまでの30年間の人材育成の成果に結びついています。インタビューの動画をご覧いただくと、卒業生たちが、国際学部での学びがこれまでのキャリアにどのように結びついているかを、学生時代の楽しい思い出とともに、生き生きと語ってくれています。是非、動画をご確認ください。

最後に、国際学部で学びたい、卒業生を採用したいなど、教員と共同研究をしたい、さまざまな観点で国際学部に興味関心をお持ちのみなさま、是非、パンフレットと国際学部HPをご覧いただき、私たちにご連絡・ご相談ください。