授業紹介

Vol.1 足尾銅山フィールドスタディー
「国際市民社会論演習」
足元にある環境問題から途上国の問題を考える

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足元にある環境問題を考える

足尾銅山。

みなさん一度は社会の授業で聞いたことがあると思います。

足尾銅山は社会問題となった公害問題を引き起こしたことで有名ですが、その一方、日本の近代化にも大きく貢献してきたという歴史も持っています。

「国際市民社会論」では、足尾銅山フィールド・スタディを行うことで足元にある環境問題に触れ、近代化の過程で途上国が通る問題を考えます。

館長の長井一雄さん画像

まず最初に訪れたのは、足尾歴史館。
ここでは足尾銅山の歴史的な変遷を紹介します。

館長の長井一雄さんは、「足尾銅山によって日本は発展したが、それと同時に鉱毒問題で公害が発生し、水質汚染や土壌汚染を引き起こした。そんな光と影を併せ持った足尾銅山の歴史を一般の人に伝えたい。」という気持からNPOを設立し、ボランティアで活動されています。

足尾銅山観光では、実際にトロッコに乗り坑内観光をすることができます。また、閉山までの96年間にわたる足尾銅山の歴史を、資料や模型、鉱石を使って説明しています。

アジア各国から見学に来る人もおり、足尾では”光と影””正と負”の両面をあわせ持つ地域として世界遺産登録をめざした活動をしています。

足尾の山に100万本の植林を目指して

足尾の山に木々を100万本植える様子

次に訪れたのは、NPO法人 足尾に緑を育てる会。

足尾の山に木々を100万本植えることを目標にしています。

しかし目標まではまだまだ遠く、助成金をもらいながら600人の会員の協力で植林活動を行っています。山頂部分は土砂崩れの危険性もある為、国とNGOの協力で行っています。

足尾銅山の森林破壊は、日本に環境問題をもたらしました。 失った木々は公害が原因によるものだけではなく、実際は人の手による伐採もかなりありました。その理由は、 銅を採掘する過程にあります。銅の採掘には長いトンネルが必要であり、そのトンネルの内側を支えるのは、大量の木材でした。

メンバー集合画像

そして現在の日本は途上国から大量の木材を輸入しています。

途上国では、近代化の過程で、日本の足尾と同じような問題が起こっている地域があります。

「国際市民社会論」では、足尾銅山フィールドスタディに参加することにより、近代化の過程で起こりうる光と影の問題を考え、途上国でも同様のことが起こっている現実について、足元にある環境問題から途上国の問題との関係性を考えていきます。

取材協力

  • 重田 康博 教授