宇都宮大学大学院国際学研究科は平成11年(1999年)4月,国立大学唯一の国際学部を基礎に,「国際社会研究専攻」(入学定員10人)及び「国際文化研究専攻」(入学定員10人)の2専攻(修士課程)をもって開設しました。
冷戦後の世界は,グローバリゼーションとローカリゼーションが同時進行し,国際化・グローバル化(地球化)が伸展する一方,異なる国家間,民族間相互の社会・文化システムへの対立や摩擦が拡大し,環境悪化,富と貧困の偏在,人口増大と資源涸渇等,国家の枠を越えて緊急に解決しなければならない問題が山積しています。本研究科はこうした現状をふまえて,「地球社会形成」「地球文化形成」の観点から「国際学」という新たな学際的・総合的な教育研究分野を開拓し,広い視野と深い分析力・理解力を備えた国際的な高度専門職業人を養成することを目的としています。
国立大学唯一の国際学研究科として,この間の実績は国際的にも評価され,本研究科は平成15年(2003年)9月,国際学関連の国際的学術組織APSIA(the Association of Professional Schools of International Affairs国際問題大学院連合)への準加盟を認められました。また,平成16年(2004年)4月には,国際交流・国際貢献に寄与しうる人材の養成への内外のニーズに応えるため,第3の専攻となる「国際交流研究専攻」(入学定員10人)が設置されました。
特に9.11以降,民族紛争・地域紛争がさらに複雑化して国際テロの危険と米国のユニラテラリズムが顕著となり,国連の役割が再検討されるなかで,市民として能動的に国際交流・国際協力に関わり,豊かで多様な地球社会・地球文化形成に貢献するため,自ら課題を探求し,理論的・実践的に解決する日本発信型の能力が求められています。本研究科は,3つの専攻における教育研究とその総合を通じて,APSIAの目的でもある政府・民間・非営利3部門における国際的な高度専門職業人の養成に努めます。
本専攻はローカル(地域的)に生起する民族紛争,政治的対立,環境悪化等の諸問題を理論的,実証的に明らかにするために,海域アジア・太平洋と陸域ユーラシアという二つの連鎖的交流空間における経済,政治,社会システムの構造と機能に着目するとともに,それらの比較とグローバルな総合(地球社会形成)という視点を加味しつつ教育研究を行います。
本専攻はローカル(地域的)に生起する異文化間の摩擦や交流,言語問題,宗数的対立等の諸問題を理論的,実証的に明らかにするために,環太平洋と環大西洋という二つの連鎖的交流空間における文化システムの構造と機能に着目するとともに,それらの比較とグローバルな総合(地球文化形成)という視点を加味しつつ教育研究を行います。
本専攻はローカルな現象や問題を理論的,実証的に明らかにし,グローバルな国際関係との関わりで学際的,総合的に教育研究するにとどまらず,広く日本から発信する市民レベルの実践的国際交流・国際貢献について教育研究を行い,以て地球社会・地球文化形成に寄与します。
市民が社会のあり方について自由に議論し,合意を形成して広く社会に意思表示し,公的な制度や政策決定に影響を及ぼす社会空間は,「公共圏」とよばれます。近年,国家間の利害対立のために解決できない南北問題などグローバルな課題を,国家の枠を超えて取り組む動きが顕著になってきました。この運動の担い手は国家を超えて活動する多様な文化をもつ市民・市民組織です。本研究科は,これら市民・市民組織が活動する公共圏を「多文化公共圏」と規定します。多文化公共圏では,市民・市民組織が国家,民族,宗教,言語などの違いを超える自由なコミュニケーションを通じて合意を形成し,トランスナショナルな課題の解決に取り組んでいます。
本博士後期課程は,多文化公共圏を以下の三つの観点から教育研究します。
本博士国記課程は,この教育研究を通して,多文化公共圏の形成にかかわる課題設定,企画立案,実施の組織的監理を行う指導的高度専門職業人を養成します。