お問い合せ

宇都宮大学国際学部
〒321-8505宇都宮市峰町350
TEL 028(649)5164
FAX 028(649)5171
Mail

ホーム学科紹介 > 教員インタビュー

教員インタビュー

影響を与えたカンボジア情勢とインドシナ難民流失

 1970年代後半私が学生のころ、カンボジアでのポル・ポト政権によるカンボジア人への虐待と約150万人の虐殺という衝撃的事件があって、カンボジアの人々の悲惨な出来事や大量のインドシナ難民の流失問題をきっかけに国際的な問題に関心を持つようになりました。その後、アジア太平洋資料センターという団体で、NGO活動やアジアの貧困などをテーマにした講座に出席して、当時の大学ではあまり教えてくれなかったNGOのことを知るようになりました。今の学生は、大学でNGOとか市民社会のことを教えてもらえるし、大学のNGOサークルもあるので、すごくうらやましいです。

 その後、カンボジアには1988年に初めて行くことができたのですが、そのときもまだ政府とポルポト派との内戦状態が続いている状態でした。治安も良くない、生活にも支障をきたしているカンボジアの人々にとって大変な時代でした。今のカンボジアはその頃とはだいぶ変わって、首都のプノンペンにもどんどんビルが建っている状況です。外国資本、特に中国や韓国、はるかに遅れて日本の企業が入って、猛烈な勢いで経済成長しています。ただ逆に貧富の格差、開発による格差というのが問題になってきていて、都市のスラムとか、都市と農村の人口格差、農村が貧しくなって農民が土地を売ったりタイに出稼ぎに行ったり、農民が疲弊したりということがあります。日本の資本が遅れた理由は、それまでカンボジアを政府やNGOによる援助対象国として見ていて、カンボジアを本気で商売相手とは見ていなかったからです。

アジアを旅し自由に過ごしていた大学時代

 高校の授業と違って、大学というところは自由というか、自分が主体的に学ぶということでは、すごく新鮮でした。やっと高校の勉強から開放されたってこともあります。高校までは集団で強制的に勉強しなきゃいけないとかあるじゃないですか。大学では好きな教科が自分で選べるのはすごくいいことです。


    

学生時代 夢中になっていたインドへの旅


 私が大学生のときは、アジアにとても関心があって、特にインドとかタイに行くことに夢中でした。当時、藤原新也さんの「インド放浪」や「全東洋街道」って本が流行っていて、僕らの世代はインドとかタイに行くのが憧れだったんです。バイト代を稼いで、ガンジス川に行ってボートに乗ったり、インド国内をのんびり放浪していました。もともとバックパッカーというか、国内旅行は一人でよく行ってましたので、インドやタイに行くときも親は協力的でした。

 学生のときは、ぬるま湯でしたね。結構のんびりしていましたから、甘さがありました。なので、社会に出てから切羽詰りました。自分のやりたいこと、アジアのことや国際協力のことなど、大学出たらやりたいと思っていたことって、すぐに仕事としてできるわけじゃありません。自分の意識と社会の間にギャップがありました。今とはキャリアプランの点で違います。大学出てから10年くらい辛抱強く、粘り強く意思を持ってやっていないと、国際協力の世界では続けていけないし、生き残っていけません。私は大学を出てから大学院に行き、修士号と博士号を取得しました。20代っていうのは、そこで大体の人の一生の仕事が決まりますから、人生の中でもとても大切な時期なのです。だから大学時代はいろいろと自分の可能性を模索していい、あるいは卒業して仕事をしながら自分にあった仕事を見つけてもいいと思います。

長い目で歴史を見つめる

 授業中では学生に具体的事例を紹介します。国際協力活動とか、グローバリゼーションの影響と負の側面のこと、なぜこうなるのか、解決のためにはどうするのかというのを市民社会の側から、どう捉えるのかなど。たとえば、NGOが始めた地雷廃絶キャンペーンでどのようなネットワークを活用して、地雷廃絶の条約を作ったとか、具体的な例を挙げて説明します。若い人は知らない人も多いと思いますが、他国が攻めて来たら、戦争になってしまったら・・・自己防衛のために日本も地雷を作っていたのです。NGOが最初に呼びかけてその後カナダやノルウェーの政府が中心となって、日本もその呼びかけに賛同して、数年かかりましたが、日本も条約に加盟して地雷を廃絶しました。でもそれがすべてではありません。100%解決したわけではないのです。しかし、米国、ロシア、中国の軍事大国はまだその条約に加盟していないし問題というのはそのときだけじゃない。そこの現象だけを見るのではなく、第一次・第二次世界大戦、戦後の冷戦を含めて国家による戦争と市民社会の動きについての歴史をここ100年くらいで捉え、そういう目を養うようにしなければいけません。

国際学部の魅力

 学生をNGOやODA(政府開発援助、Official Development Assistance)の現場に連れて行くことがあります。開発の現場を具体的に見るのと見ないのとでは全然違います。現場に行ったことによって、意識して気付くようになります。国際学部の学生は一人で活動の現場に行く方も多いですね。宇都宮大学には学生NGOのカケハシーズやリソースネットワークなどの受け皿もたくさんありますから、そういう団体の活動を通じて学生は現地に行ったりしています。

 学生が自主的に活動するために、国際キャリア開発プログラム、福島乳幼児乳産婦支援プロジェクト、サルボダヤ運動参加などインターンシップを行う国際キャリア実習などもあります。海外に留学先や提携校もありますから、自分の道というか、キャリアプランの形成の観点から留学先やインターンシップ先を選択できるという利点はあります。宇都宮大学では50くらいの海外の大学と提携しています。国際学部の学生は社会科学や人文科学系の大学に留学することが多いですが、中にはタイの大学やインドネシアの農科大学に留学した学生や提携先の大学から来ている外国人留学生もいます。日本語ができる留学生や全くできない交換留学生もいるし、もちろん自費で来ている留学生もいます。

 このように宇都宮大学には、たくさんの留学先やNGOなどの受け皿があります。ぜひ皆さん来てください。宇都宮大学国際学部でお会いしましょう。

前編へ...

取材協力:重田 康博 教員プロフィール

このサイトについて個人情報の取扱い等に関する基本理念