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教員インタビュー

3つの社会

 国際NGO論と国際協力論が自分の専門科目です。

 世界や発展途上国の貧困の問題、農村の食料自給問題、環境の問題、女性の差別問題、子どもの教育や保健医療の問題、平和の問題、人権の問題など、そのような問題解決のために活動する国際NGOやグローバル・ガバナンスに焦点をあてて講義しています。

 NGOは、Non-Governmental Organizationsの略称で日本語では、非政府組織とか市民組織といいます。市民社会の人々で構成される団体・組織です。

 ヨーロッパでは、古くからNGOが活動し、19世紀中頃の国際赤十字運動が結成されました。欧米でのNGOの活動は日本よりもずっと盛んで、日常生活に溶け込んでいます。日本ではまだ、政府と企業という2つの社会の存在が大きいですが、欧米、ヨーロッパではもうひとつ「市民社会」というセクターが存在していて、そこでNGOとかNPO(Non-Profit Organizationの略称、非営利団体)、公益財団などが活動しています。

関心の深いヨーロッパ

    

 フェアトレードという言葉をご存知ですか?知らない方もたくさんいらっしゃるかもしれません。現在の貿易は、経済的にも社会的にも立場の弱い途上国の人たちにとって、公正な貿易ではなく、ときに貧困を拡大させることもあります。フェアトレードとは、適正な価格で取引を行うことで、途上国の生産者の自立を応援する活動です。いわば産地直送のグローバル版です。

 フェアトレード財団というイギリスのNPO団体があって、その団体によって基準が守られていることを立証、認定された商品には、フェアトレードマークが貼付されています。フェアトレード財団は、日本にも支部があります。

 イギリスでは、普通のスーパーマーケットにフェアトレードマークがついた商品が並んでいます。日本では、このような商品を取り扱う専門のお店でないとなかなか見ることができません。それだけ日本ではフェアトレードに意識が低い、関心がないということですね。途上国の方を向いてないんです。向いていても、最近日本はフェアトレードではなく、BOP(Base of the Pyramid)のビジネスの市場として途上国を考えています。

 栃木県内、宇都宮市内にもフェアトレード・ショップが少しずつ増えています。といってもまだまだ数えるほどですが。日本の中間業者、フェアトレードを専門にやっている団体や企業を通して仕入れて、それで嗜好品、民芸品などを売っています。

 フェアトレード商品は、生産者にもちゃんと利益が配分されていたり、地球環境や生態系を守る農法で生産されていたりして、金額が少し高かったりしますから、仕事としてやるためには、収入面でなかなか難しいことがあります。その点、イギリスでは過去の植民地支配の歴史の関係もあって、イギリス人はフェアトレードへの関心と共感があります。

知ってもらうために

 今年で5回目になりますが、グローバル教育セミナーを毎年開いています。昨年のテーマは、まちづくりやフェアトレードをテーマにしました。フェアトレード・ウォークという活動に宇都宮大学のサークルや学生NGOが参加して、フェアトレード・ショップを取材をします。お店の方にインタビューして、その内容をセミナーの中で発表することで、大学生にもフェアトレードを身近に感じてもらうのが狙いです。

 福島乳幼児妊産婦支援プロジェクト(FSP)という活動もしています。東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所事故後、放射能汚染による健康被害の不安を抱えて避難している乳幼児や乳産婦のニーズを把握し、そのニーズに対応できる団体との連携した体制のもと、これら避難している方々や子どもの支援を行うことを目的にしています。福島から逃げてきた方でも、自主避難とそうでない避難とでは、待遇が違ったりします。栃木に来てからの生活をどうするか、帰りたくても帰れない・・・県外避難の方々をフォローする活動です。群馬大や茨城大、他にも首都圏にある東京外国語大学と連携して、ニーズ先を探したりニーズ先の調査をしたりと、支援を繋げる役割をしています。他にも報告会や座談会などを開いたり、アンケートしたり、直接お話を伺ったりもします。クリスマスにあわせて、子どもたち向けにクリスマス会をやりました。原発による放射能汚染地域から一時的に離れたり避難している親や子どもたちが集める場づくりというのは大切なことです。子どもを保養する受け皿を作ったり、こうした方々の悩みの相談や彼らの実情を発信しています。

 また、スリランカでサルボダヤ運動というNGOが活動しています。A.T.アリヤラトネさんという、高校の先生が1958年に貧しい村で始めた農村開発運動です。要するに村おこし。それが時代とともに国際NGOとなって、今では1万5千の村を対象に農村開発をしています。この9月にもサルボダヤの活動の調査、視察に行きました。サルボダヤの本部は首都のコロンボから車で1時間半くらい走ったモロトワにあり、プロジェクト本体は全国各地の農村にあるわけです。残念ながら1万5千の農村全部は回れません。一部、限られたところだけですが、蚊取り線香と虫刺されの薬を持って視察しました。昨年は国際学部の学生を2名引率して、サルボダヤでワークキャンプを行い、インターンシップも実施しました。

    

<後編へ...>


取材協力:重田 康博 教員プロフィール

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