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教員インタビュー

三つの “I” を育てよう

 『北京ヴァイオリン』(陳凱歌監督、2002年)という中国映画があります。ヴァイオリンの上手な田舎の少年が北京へ行き、優れた師匠のもとでヴァイオリンの技能を上達させていくという話です。その少年は練習するにあたって、先生から二つ大事な忠告を受けます。一つは「一生懸命練習しなさい」ということ、もう一つは嫌々練習するのではなく、「楽しんで弾きなさい」ということです。おそらく、本人がおもしろくないと思っていたら、聴いている観客もおもしろいわけがないということでしょう。

 私は、ゼミで学生に三つの”I”から始まるものを大切にするように言っています。そのうち二つは『北京ヴァイオリン』で先生が言っていたこととほぼ同じです。

 一つ目は”Industry”。この単語は、ふつう「工業」や「産業」と訳されますが、ここでは「勤勉』という意味で使っています。つまり、「とにかく一生懸命勉強しなさい」ということです。いい加減なものはゼミで発表してほしくないと思っています。

 二つ目は、“Interesting”です。やはり大学では、夢中になって面白いと思えるかどうかが、研究の命です。どんなテーマでも、自分の努力と工夫次第で、興味ある対象に変わると愚直に信じています。だからこそ、ゼミでは自分なりに工夫をして人に聴いてもらいたいと思うように発表をしてほしいのです。そのためには丁寧に文献を読みこみ、自分なりに論点を整理することが必要です。人に伝えることが楽しいと思って発表しないと、聴いている方もつまらないし、本人にとっても力にならないだろうと思います。そういう意味で、たとえ無理をしてでも夢中になることは大切です。

 そして、三つ目は”Imagination”です。「想像力」ということですが、ここではもう少し深読みして、「批判的な精神」と理解してください。どの研究分野についてもいえることだと思いますが、政治学の分野では、特にこの批判的精神が重要です。いまあること、「現状」が最善だとすれば、学問をする意味は限りなく小さくなってしまいます。ただ、いたずらに批判すればよいとは思いません。批判するためには、自分なりの「疑問」「問い」を持つことが出発点になると思います。

『紅の豚』の主人公ポルコ・ロッソは、なぜ豚の姿をしているのか

 国際政治史という科目では、できるだけ身近な映画を取り上げて授業を行うようにしています。誰もが一度は見たことがあるような映画です。

 例えば、宮崎駿監督の『紅の豚』というアニメ映画は、ご存知の方も多いのではないでしょうか。舞台は第一次世界大戦後のイタリアです。元々はイタリア空軍のエース・パイロットだった主人公マルコ・パゴット大尉が、第一次世界大戦中に遠征で自分の仲間を全て亡くし、一人だけ生き残ります。戦後、どういうわけか彼は、豚の姿になり暮らしていきます。

 では、なぜマルコは人間ではなく豚の姿になったのでしょうか。この問いは、国際政治史のダイナミックな展開から解き明かすことができると考えています。続きは入学してからお話ししましょう。

宇都宮大学 国際学部の魅力

 第一線で研究している先生が集まっていることは、貴重な財産だと思います。現在、高い学術的水準を保つことのできる大学は、それほど多いわけではありません。だからこそ、この点は一番誇るべきところではないでしょうか。

 次に、外国語の科目が充実していることです。ここでは、英語を含めて7言語を学べます。語学への配慮がなされており、どの言語も基礎から応用、さらには講読の授業まであるのはきわめて珍しく、また魅力的です。さらに、担当教員の多くは、語学だけを専門にしているわけではなく、社会科学や人文科学などの研究を通して実際に語学を使っているため、実用的な授業ができることも良いと思います。

 また、行き届いた少人数教育を受けられるので、学生にとっては恵まれた環境です。

勤勉な学生たち

松村ゼミ(近現代中国論演習)

 勉強に対する意欲を今どき珍しいくらいきちんと持っている学生が多いと思います。それは大学にとっても、もちろん学生自身にとっても貴重な財産でしょう。学習態度も非常に良く、勤勉です。勤勉さは、大学生になって失われやすい原石のようなものだと私は思うのですが、四年間それを保ち続ける学生の割合は断然高いと思います。

 学問自体を大切にする雰囲気があることも特徴です。単に就職に有利になるような実学だけをしていればいいと思っている学生はそれほど多くないようです。大学時代に学ぶべきことはたくさんあると理解し、勉学に励んでいます。企業も実学だけを求めているわけではありませんし、実は社会のなかでもそれは重要です。

 欲を言えば、私が学生に話す三つの”I”のうち“Interesting”と”Imagination”をもう少し磨いてほしいです。まじめに頑張ってやるだけではなかなかいい研究はできませんから、この二つを意識するとさらに良くなると思います。

受験生へのメッセージ

 古い本や映画に触れましょう。現代は新しいもので溢れていますが、古いものが今なお残っているのは、やはり良いものだからでしょう。国語の教科書に出てくるような小説の原文を読むのもいいし、家城巳代治、黒澤明、小津安二郎、新藤兼人などの有名な映画監督の作品を見たりするのもいいでしょう。ずいぶん古い作品を通して、今と全く違うところがあるのを知ることは当然ですが、不思議なくらい今と共通する「普遍的」な部分にも出会うことがあり、驚くこともあるでしょう。初めは理解できなくても、諦めずに作品にしがみついて、読んだり見たりしてみてください。この「再発見」が新しい地平を切り開くことだってあります。

 社会に出てしまうとゆっくり時間をかけて、作品を味わうことは難しくなります。今のうちにたくさんの古典作品に親しむことをお勧めします。

 それから、新聞を読んでほしいと思います。時事問題については、テレビやネットではなく、ぜひ新聞から情報を得るよう心がけてください。最初は一面だけでもいいので新聞を頑張って読んでみてください。最近は新聞を読む学生が少なくなり、就職活動の時に慌てて読み始めているようです。自分なりの「疑問」や「問い」を持つためには、社会で起こっていることをまずは知る必要があります。慌てることがないよう、今のうちから新聞を通して知見を広めましょう。

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取材協力:松村 史紀 教員プロフィール

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