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教員インタビュー

研究テーマ

 私の研究テーマはいくつかあるのですが、重要な役割を果たすと考える“女性”を中心的なテーマとして、最近は取り上げています。

 みなさんは『小栗判官と照手姫』の物語を知っていますか。これは、常陸国(現茨城県)小栗城の城主と相模国(現神奈川県)横山家の娘の出会いから死、そして蘇生の物語です。興味深いことに、この物語は男性(小栗)と女性(照手)という2つのパートに分かれているにもかかわらず、人々は男性パートのみ話題に出すのです。17世紀にイギリスのジョン・バニヤンが執筆した『天路歴程』で描かれているChristianとChristianaの物語でも、この現象が見られます。なぜだと思いますか。

 研究を通して考えているのは、男性的な「語り(narratives)」はより自分本位な傾向があり、世界をとらえるモデルも、植民地帝国や世界大戦など、「征服」を基調としたものだということです。それに対して女性的な「語り」は、相互の関係や関連性を、比較的重要視しているように思われます。実際に21世紀の世界では、協力や相互依存、自然環境の保護など、より女性的なモデルが一般化しているように思うのです。これは女性的な視点の方が重要だと言いたいのではなく、男性的な視点や世界観とは異なる見方を提供できる、という点に意味があると思うのです。

女性であることの意味

 たとえば、女性であることの意味を考えてみましょう。日本社会におけるレズビアンの人々の立場を考えてもよいかもしれません。そもそも、日本において女性であるとは、夫を持ち、家族をもつことだと一般的には考えられていると思います。でも、もしあなたが夫や家族を必要としなかったら、あなたは女性なのか、という問いが出てくるかもしれません。これはとてもむずかしい問題ですが、人間とは何か、女性とは何かを考えてみることが大切だと思います。このようなテーマを取り上げることも私の研究の一部です。

 授業でこうしたテーマをどのように扱っているかというと、私の担当している「翻訳文学論」という授業では、ホワイトニング化粧品について学生にプレゼンテーションをしてもらっています。こうした化粧品は、日本におけるアイデンティティに関して、どのような見方を示しているのでしょう。もしあなたの肌が白くなかったら、不健康で魅力的ではない女性と認識されてしまうのでしょうか。もちろん文化によって考え方は異なりますが、これは日本だけの問題ではないのです。他の国と比較しながら考えてみると、面白いかもしれませんね。

 

高校時代:哲学と国際関係と

 私の研究の始まりについて考えると、高校3年生の時の哲学の授業がきっかけとなっていると思います。私はその授業が本当に好きだったのです。哲学というと難しく聞こえますが、たくさん話し、たくさん読むということから始まりました。基本は本を深く読むこと、つまり精密な解釈をしようとすることで、教科書にアンダーラインや星印を書き込むなど、教科書の記述に入り込むような感覚を味わいました。さらに友人とディスカッションをして意見を交換し合うことで、授業に具体的に「参加している」実感をもつことができました。

 面白いことに、私は大学に進学すると、哲学と国際関係の両方を専攻しました。哲学を専攻したいと父に話したとき、父は哲学だけ勉強したのでは仕事に就けないと心配したのです。もともと、国際関係にも興味があったので、両方専攻することにしました。現在教員として教壇に立っていますが、常に良い教員になれるように努力しています。学生に何かを与えるのではなく、学生が考え、創造する手助けをしています。そして一方通行ではなく、双方向の授業を心がけています。この教育観は、高校自体の哲学の授業から影響を受けているのかもしれませんね。

後編へつづく...

取材協力:バーバラ・モリソン 講師プロフィール

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