教員インタビュー

教員インタビュー
Vol.1 常識を違う角度から見る力
取材協力:松尾 昌樹 准教授

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もしも日本が陸続きの国だったら?

もしも日本が陸続きの国だったら?

例えば国境を引いて、それを越えると、 そこから先に住んでいる人々は自分とは「違う人」って、誰がどうやって作ると思いますか?

こっちは日本国民で、向こう側は違う国民。

実際には、日本の周りは海だから、「自分達」と「違う人々」が隔てられていることは簡単に実感できて、”国民は自然に出来るもの”と考えるのが馴染むのですが、 実は自然に出来るんじゃない。

ある時点で創られるんですね。

その“国民が作られるプロセス”を「統合」と捉えて、 それを「国民統合」と言うんです。

誰がどうやって国民を創ろうとしているのか? これらを湾岸諸国について研究しています。

実はその湾岸諸国とは、とてもおもしろい地域なんです。

王様がいる国々

ワールドカップのアジア予選などで、聞いたことがある人もいると思いますが、バーレーン、クウェート、カタール、オマーン、UAEなど、これらを湾岸諸国と言います。

これらの国は、みなさんがイメージに持っている通り、石油を売ったりして、お金持ちなんですね。

そして、民主的ではないという特徴があります。

インタビューの様子

ここは非常におもしろい地域で、今でも王様がいるんです。

これは大きく注目されていて、なぜかというと、世界的に「経済発展すると民主化する」と考えられているんです。貧しい国も段々豊かになって生活が安定してきたら民主化するだろう、と。これが一般的な考えとしてあるんだけれど、 湾岸諸国は全く違うんです。すごいお金持ちなのに、王様がいて、中には議会も機能してない国があったり、全然民主的ではないんです。

それは、なぜなのか?この不思議を社会、政治、文化、歴史から解き明かしていきます。

現地の空気に触れる

日本人から見た中東はすごく遠いでしょ?
地理的に遠いし、また中東に関する情報は、日本ではなかなか得ることができません。

だから、現地を訪問して実際に自分の目で確認しないと、自分の考えが現地の実態からどんどんずれて行ってしまう。

本の画像

例えばこの本。
1960年代にオマーンの反政府団体が作った本なのですが、 現地の本屋さんでは表向きは発禁書となっています。

こういった本に書かれていることは、新聞やニュースでは絶対知ることができません。

それが、現地の人と話していると、ぽっと出てきたりする。

日本にいて、本やインターネットで調べるだけではなく、現地や周辺各国に赴き、一般の人々から政府の役人にまで、直接話を聞きます。

その土地の空気に触れることで、彼らの本音が聞けたり、様々な社会問題が見えてきます。

常識を違う角度から見る力

社会の常識は、みなさん大人になるにつれて身につけていくものですね。

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しかし、この常識ってどうやって作られていくのか?
こういう常識を作ることで、誰が得をしているのか?

なんて考えたことはありますか?

湾岸諸国の話は、私たちが持っている社会常識とは大きくかけ離れています。

広い世界にはこんな人もいるんだ!

そんな事柄を見ていくことで、どこかで常識として持っている知識を振り返ったり、物事を違う角度から見るという力を宇都宮大学で学ぶことで得てほしいと思います。

大学を卒業して社会で生きていく中で、自分の中に幅が広がったり、いろんなオプションを選択することができる能力を身につけることが出来るような学生生活を送ってください。

世界中のいろんなことを知りたい!
日本のこんな常識は違う!

色んな疑問を持って、宇都宮大学に来てください。

取材協力