カリキュラム - 地域の大学連携による国際キャリア開発プログラム

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国際キャリア実習

平成28年度夏期国際キャリア実習生の報告・発表内容

1. KURATA PEPPER(カンボジア)

   国際学部 国際社会学科 2年 鳥井 美波

  

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【学んだこと】

国際キャリア実習を通して、自分が学びたかったことの答えがどうであるというのを一旦取っ払って、それ以上に感じたのは、自分の好きなことをやろうとういうことだ。どれがきっかけでこう思ったのか、皆目見当がつかないが、実習最後から、ふつふつとこう感じるようになった。恐らく倉田さんをはじめ、いろんな方の話を聞いたり、スタッフの方達と話したり、カンボジアの風に当たったり、様々な要素が総じて、ふつふつと私は自分のやりたいことをやろうと思った。

次に思ったことは、日本に帰国した後、外国から来た人達にもっと優しくしたいと思った。カンボジアで生活して、危険な目にあった訳ではないが、治安が悪いと言われ、不安な気持ちや警戒心が働いていた。スタッフの方や倉田さんが私を一人でしないように気遣って頂いたお陰で、私は暮らすことができたことに感謝の念があると同時に、留学生の友人の気持ちが少し分かったような気がした。

また私はこれまで他者や外国に対して、働きかけを行うことに疑問を持っていた。今、そのことに対して、答えを持ったわけではないが、そこで働く人々を見ていると良いとか悪いとかの話ではないような気がした。そして、自分がいかにカンボジアのこと、援助のこと等を知らないかということを、痛切に思った。

募金箱を設置する際にいくつか候補があったが、私が「いいと思う」とばかり言っていた為、注意されたことがあった。自分の思っていることを、相手を慮りながらも曲げずに伝えることは、あまりできていなかったように思う。未熟で成長できる部分があることを感じた。

国際キャリア実習で、私は海外に行った企業が、現地の人々とどのようにかかわりあっているのかということを知りたい、現地の人々がどう思っているのかを知りたい、という気持ちだった。二週間暮らしただけでは、そのことに関してはまだ何とも答えは分からないが、それとは全く違う面で、自分が予期していなかったこと、学びたいと自分が組んでいた枠外の思ってもいなかったことを、感じられたり学べたりしたのは、行ったことならではであり、貴重な経験をさせてもらえたと思っている。

【将来への影響】

カンボジアで暮らす日本人の方々と沢山会って、まず、いろんな生き方があるな、というのを感じた。自分が将来こうなりたい、という具体的な夢はないが、どういうふうに将来を構築していこうか、と考える瞬間は滞在中に何度もあった。そして、今まで真剣にどういう生き方をしようか、自分はどういう人でありたいのか、という将来像から逃げたつもりはないのだが、真剣に考えたことはなかった。倉田さんや他のスタッフの方に聞かれた時、分からなかった。 自らの将来像を探しに、国際キャリア実習に行ったわけではないのだが、自分の将来に思いを馳せるような時間は多かったと思う。

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2. ピースウインズジャパン(スリランカ)

   国際学部 国際社会学科 2年 斉藤 有海

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【学んだこと】

➢NGOの実際の仕事
 私の中でNGOと聞くと、常にフィールドで活動をしているというイメージを持っていたが、今回のインターンシップで1番最初に感じたことが彼らはかなりの量のデスクワークをしているということである。

大きく分けて3つあるが、1つ目は現在行っているプロジェクトに関する報告書などの書類作成、2つ目は行政機関やプロジェクトを一緒に行う現場作業員に対するレター作成、最後が次に行うプロジェクトに関する資料作成である。

現在行っているプロジェクトに関しては、モニタリングに行く度に写真を撮りデータとして残し、報告書など作成する際に一緒に載せて、それらがプロジェクトが実際に進んでいることの証明となる。

レターというのは証明書のようなもので、PWJがプロジェクトを行う際にどのくらいのお金を使ったのか、計画通りに事業は進んでいるのかを細かく記載したものである。作業員とは例えば事業地に新しく井戸を付け足したりするときに工事を依頼する人たちのことで、彼らに対する誓約書を作成しなければならない。それは、確実に期日通りに作業を終わらせるためのもので、その誓約書には、もし期日を過ぎたらペナルティがこれくらいかかるということまで記載されていた。一見厳しく見えるが、これらの書類があることで事業を円滑に進めることができるので重要な書類である。

次のプロジェクトに関する資料についても、既に次のプロジェクトについて話し合いを始めることに最初は驚いた。しかし、大きな規模の事業を計画しているため、いつまでに何をPWJが準備しなければならないのか、PWJが準備するものではないものはどこの組合や団体に任せるのかをスタッフ全員でミーティングを開きリストを作成していた。フィールドに行ってモニタリングをすることも彼らの仕事の1つではあるが、これらの多量のデスクワークは全て信頼関係を築き上げるものに必要なものだと感じた。

➢現地のスタッフとの関わり方
 多くのNGOは、違う国の人と仕事をすることが多いと思うが、文化も価値観も違うのが当たり前である。自分の考えを持つことももちろんだが共に仕事をする関係になったとき、相手を理解していくことが大切だということを学んだ。そこで必要となるのは、相手とよく話すこと、仕事上の話だけではなくコミュニケーションを取らなければ相手に近づくことはできないし、どんな考えを持って行動しているのか理解することはできない。上で述べたことと少し被るが、私はこれまでNGOで必要とされることは知識・技術・体力だと思っていたが、インターンを通して最も重要だと感じたのは信頼関係であると思う。NGOのスタッフ同士の信頼関係はもちろん、NGOのスタッフと地域の住民との信頼関係、NGOのスタッフと組合や行政機関との信頼関係が成り立たなければ全てうまく進まないと強く感じた。PWJはスタッフ同士だけではなく、事業地のスタッフの人や組合の人とも多くのミーティングを行い、良い信頼関係を保っていると感じたので、この点は私の中で新たに学んだことであった。

➢異文化を持つ人との接し方、ものの見方
 この3週間、インターン関連で行った場所もあれば、休日にスタッフの方に観光地に連れて行ってもらった場所もある。その色々な場所で、様々な物を見て多くの人と関わる機会があったのだが、異国に関することだけでは無いかもしれないが、全てのものにそれぞれのバックグラウンドがあるということを前提に考えられるようになったことが私の中の変化である。特にスリランカでは近年まで紛争があり、1つの国に違う言語を話す人々が一緒に暮らしている。元々は対立していた人々同士であり、もしかしたら現在でも水面下でお互いに対するマイナスな先入観を持ち続けたままで暮らしているかもしれない。

私は戦争後の平和な世界でしか生きてこなかったため、教科書やテレビなどでしかその光景を見たことがなかった。その為、どうしても現実味の無いものに感じてしまうが、そうでない人の方が明らかに多いのが事実である。戦争を経験した人、戦争で家族を亡くした人、政治事情により苦しい生活を強いられている人がたくさんいて、実際にそのようなバックグラウンドを持つ人と話す機会もあったのだが、そのような人がいるということをよく理解せずに無意識に人々の暮らしに言及してはいけないと感じた。また、景色の見方も変わり、例えば、ボロボロのコンクリートや数多くるヤシの木の中に頭がないものがたまにあったものを見たときに、果たしてこれは戦争の爪痕なのだろうかと考えたりするようになった。また、私はインターンに来る前までこの人にはどんな過去があるのだろうと考えて接したことはかなり少なかったと思う。しかし、色々なお話を聞きこの人のこの発言の裏側にはきっとこんな思いがあるのではないかと汲み取るようになり、この意識は海外で暮らすにあたり必要なことであると感じた。

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3. ブリッジエアージャパン(ベトナム)

    国際学部 国際社会学科 3年 千葉 和

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【学んだこと】

4日間の東京事務所での業務からベトナムでの約10日間の業務では資料作りの最低限のマナーから、BAJの活動理念まで幅広いことを学ばせてもらいました。

東京事務所で業務をしている際はスタッフの方に作った資料を見て頂くことが多かったのですが、初めの方は数字を半角・全角統一することや出す資料は何度も見返すこと等、仕事をするにあたって基本の基本について指導して頂きました。これらについてはレポート等でも使っているものなので普段からどれだけ自分が適当に資料を出していたのかを痛感しました。また、自分の仕事を把握し、その日のスケジュールを立てるということを初めて行いました。仕事を把握することで、何を優先的に進めなければならないのかを確認でき、また頭の中も整理することができたので大まかにスケジュール立てするのではなく、正確に決めることの大切さを学ばせてもらいました。

ベトナム事務所では言語の大切さや、現地に住み長く人と付き合い関係を深めること等、何故BAJの活動が長年続いているのかを自分の目で見ることができました。日本人BAJスタッフの方はベトナム語を話すことができるので、現地スタッフの方や農家の人と冗談も言い合うことができるというのが、私にとってはとても印象的でした。現地に住み、その地の言語を話し、住民と信頼関係を築いているところを実際目にし、こういったことが現地住民のニーズを聞くということに繋がるのだなと思いました。また、現地の“Active aid”という大きな団体の方とお話しする機会がありそこで農家さんへのプロジェクトを進めるにあたり困難があることを学ぶことができました。お話を聞いて、BAJの直売所運営がどれ程農民との信頼関係を気付いていなければ為せないものなのかが分かりました。さらに農家ミーティングにも参加させてもらい運営方法について農家さんが自ら決めているところを見て、前期の授業で習ったアウトサイダーの態度について具体的に学ばせてもらいました。最終的に直売所を運営するのは、農家さん。そういった態度が農民との信頼関係を築くには欠かせないのだと思います。細かな事務作業における注意点から、日本の国際協力団体が現地で活動するとは具体的にどういたことなのかまで多岐にわたる分野について学ばせて頂き、本当に今回のインターンに参加してよかったなと思います。

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4. アンコールクッキー(カンボジア)

   国際学部 国際社会学科 3年 前野 結海

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【学んだこと】

まず、早急に教育の機会を与える必要があると感じました。特に若いスタッフと話をすると、大学に行きたいけどお金がなくて行けないという人が数人いました。私が宿泊したホテルのスタッフも、お金がないからここで働いて、学費を稼げたら大学に戻りたいと言っていました。大学に行きたいとまでは言わなくても、家族のために朝5時に起きて家族の朝ごはんを作ってから会社にくる子もいれば、母親はプノンペンで新しい家族と生活しているから、今は兄弟のごはんを私が毎日作っていると話している子もいました。みんな私と同じような年のスタッフで、いかに自分が恵まれているのか、どれだけ多くの人が大学に行きたくても行けないのか、身に染みて実感しました。カンボジアでは、教育を受けていない人はいい仕事につけずお金を稼ぐことはできません。しかし、お金がないから教育を受けられないというジレンマに陥っているように感じました。

確かに、雇用を生みだすことも大事ですが、まずできるだけ多くの若い人に教育を受ける機会を与えなければ仕事にもありつけないような気がします。アンコールクッキーで働いているスタッフは、お金持ちとまではいかなくても、高校までは卒業しており、ある程度の学歴はあります。しかし一歩町にでてみると、1日中物乞いをしている人もいれば、小さい子が店番している光景が多く見られます。彼ら彼女達は、小学校にも行っていないのだろうな、と思うと、もっと国レベルで行動を起こさないと、根本的な国の成長に繋がらないと感じました。

また大学での専攻は、ビジネス、会計、英語など、最低限の分野しかなく、文学・美術系の学部が少ないように感じました。アンコールクッキーは、これからの活動で、情操教育の支援を行う団体と提携することも考えているとのことだったので、今後どのように会社がカンボジアの国の発展に貢献していくのか楽しみです。

スタッフたちからは、人として大切なこと(優しさ、笑顔、楽しみながら仕事をする) を学びました。英語が通じないスタッフも目が合えばニコッとしてくれて、手振り身振りでコミュニケーションをとることができました。もちろん、英語を話せるに越したことはないですが、必ずしも英語が全てというわけではなく、伝えよう、相手を分かろうとする気持ちが大事だと感じました。

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5. JICAスリランカ事務所(スリランカ)

   国際学部 国際社会学科 4年 田邉 翔

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【学んだこと】

実習先で学んだことは、異文化を持つ人と仕事をすることの難しさである。それは共に働いたナショナルスタッフだけでなく、社会調査に協力してもらった回答者たちも含め、日本人の常識で考えていると、全く予想していない結果となる。例えば社会調査実施の際、アンケートはある程度すべての項目について回答してくれると考えたが、実際わからないことや不明な点についてはこちらに確認もなく、空欄のまま提出してくることは想定外であり、満足のいくデータ集計ができなかった。当初の私は一定レベルの英語さえ話すことができれば海外で働くことは容易いと考えていたが、障壁は言語だけではなく、文化や仕事、生活様式の違いなど、多岐にわたることを痛感した。

また、スリランカに限らず、南アジア特有の階級概念についても学ぶことができた。同時にこの概念が経済格差を生み出していることも知り、国際開発は単純に事業を行うのではなく、現地の文化も正しく理解しておく必要があり、開発の業務は一筋縄ではいかないことを学ぶことができた。

さらに、私自身いわゆる「途上国」を訪れたのは初めてであり、日本がいかに恵まれ、住みやすい環境であるかを再認識できた。交通事情から食生活まで、何もかもが日本にとどまっていたら経験できなかったであろうことばかりで、不便も多く感じたが、同時に今後に生かすことのできる、非常に良い経験をすることができた。

加えて今回の反省点より、自身の英語がまだビジネスレベルでは通用しないこと、Microsoft Officeの活用などの実務作業が満足にできないことなど、まだまだ社会人としての能力が不足していることを実感した。

【将来への影響】

今回のインターンシップを通して、社会人として働くことがどういうことであるか、3週間という短い期間ではあったが、わずかながらに理解できたと思う。それは服装であったり、言葉遣いであったりと、日本の組織で業務ができたからこその成果である。そういった意味で、働く事への意識を高めてくれた今回のインターンシップはとても有意義で、自身の将来の選択について大きな影響を与えてくれた。

また、海外で働く事についても改めて考えさせてくれる貴重な3週間であった。慣れない環境で社会人として責任を持って働く事の難しさを認識する事ができた。また今回の実習目的でもあった、自身に足りない部分を知ることができた点でも、実りあるものにできたと思う。そういった意味で、今後はこれらの経験をもとにもう一度、海外で働くのか、本当に自分がやりたいこと、働きたいフィールド、分野などを、自己分析を通して考えていきたいと思う。