カリキュラム - 地域の大学連携による国際キャリア開発プログラム

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国際キャリア実習

平成27年度夏期国際キャリア実習生の報告・発表内容

1. マダムサチコ アンコールクッキー(カンボジア)

   国際学部 国際社会学科 3年 佐藤 唯

  

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【学んだこと】

海外という、自分と価値観や文化の違う場所で暮らしてきた人々と共に働くということに対して、大きな不安は特になかった。初日出勤の際はかなり緊張し、通勤中に帰りたいと考えるほどであったが、アンコールクッキーのスタッフの方々はとても温かく私を迎えてくださり、すぐに緊張は解けた。 アンコールクッキーに訪れる観光客はほとんどが日本人である。そのため日本語は多く使用する機会があるが、英語を使用する機会はあまり多くないということははっきりとしていた。しかし、カフェにはショップと比べてヨーロッパ系、中国、韓国、現地の人々など様々な国からの観光客が多かったため、英語を使うことも多くあった。ショップで働いていたときに考えたのは、ショップに土産品を買いに来る観光客は、大人数で、ツアーの中の1つとして訪れる人や、学生団体で現地ツアーガイドの方に連れられてきている人が多いのに対して、カフェに訪れる観光客は個人的に来ている人が多いということだ。観光客の国籍から見ても、“お土産”に対する文化がそれぞれ違うのかもしれないと感じた。また、日本人の観光客は大学生か、年配の方が多かった。

スタッフの接客は日本流といわれるだけあって、商品説明や試食・試飲の勧め、かごの提供、ドアの開閉など丁寧であった。日本の土産店と比較してみると、サービスをしすぎなのではないかと感じられるほどであった。あいさつなどもあまりの威勢の良さに、日本でいう“お土産屋さん”というよりは、お寿司屋さんや八百屋さんを連想させるような雰囲気であった。

業務中に関しては、日本語を話せるスタッフの方が3人ほどおり、コミュニケーションに関しては安心してとることができた。しかし全く日本語を話せない人や、英語、日本語共に話せない人の方が多かったので、クメール語を使うことも多かった。クメール語はあいさつや簡単な会話くらいしか覚えていくことができなかったため言われていることを理解できないことも多くあったが、お互いに通じるか、通じないか、という点で臆病にならずに、クメール語や日本語で積極的に話しかけるよう心掛けていたからか、仲を深めるのに時間はかからなかった。恐らく、スタッフの方々の積極性や、わからなくても一生懸命聞こうとする姿に触発され、私自身も覚えたてのクメール語を使用することに臆病にならずに済んだのだと思う。このことは、言語を使用することに消極的だった私にとって大きな刺激で、今後の語学に対する意識が変化したきっかけとなった。スタッフの皆さんと2週間過ごしてみて、日本でもなかなか見られないのではないかというほどの謙虚さと仕事に対する熱心さを感じたのはいうまでもない。たった2週間のみのインターンシップ生で、しかも社内では年齢的に2番目に若い私の言うことを誰一人として嫌な顔1つせずに真剣に聞いてくださった。一方的に普段のアンコールクッキーについて教えるのではなく、インターンシップ生である私から何か新しいことを学び、改善点を出されたら直し、日本や日本語に関することに関しては意見を求めるなどと、吸収できそうなものは吸収し、今後に生かしていこうとする姿勢がスタッフ全員に感じられた。インターンシップ生という立場で簡単に改善点などを述べていいのだろうかと初めは戸惑ったが、スタッフの方々のそのような姿勢と、フレンドリーさのおかげで、私ものびのびといることができたので、多少は何か刺激を与えることができたのではないかと思う。経験が豊富な人の意見にだけ耳を傾けるのではなく、経験が豊富ではなくても、さまざまな立場の人々の話にも慎重に耳を傾けていくことを心がければ、新しい視点を得られたり発見があったりするのだということを学んだ。スタッフの方々の“学ぼう”とする姿勢には感動したところがあるが、私は日本の店員がアンコールクッキーのスタッフの皆さんから学んでほしいこともたくさんあると感じた。


商品開発では、苦労した部分が多くあった。私自身の問題点として“遠慮”があり、カフェリーダーの意見に押されて自分の意見を存分に伝えることができなかった。海外では“空気を読む”ということはなく、イエスか、ノーか、どうしたいのかなどをはっきりと言わなければ伝わらないということはよく聞く話ではあったが、それを実際に痛感したときであったと同時に、これまで国際的なことに関わることは少なくなかったために見えていなかった、自分は“日本人”の特徴をしっかりと持った典型的な日本人である、という自覚をはっきり持ったときでもあった。これは、これまでは多く海外に目を向けていたが、もっと自国に関して学びたいと考えさせられる出来事であった。商品は完成までには至らなかったが、とても良い経験になった。


社長の小島さんとはほとんどお会いする時間はなかったが、少しだけお話する時間を設けていただいた。“グローバル人材”とは、どのような人材であるのか、今と昔のカンボジアの比較、発展の様子等さまざまな話を聞かせてくださった。小島さんの話は共感できることばかりで、批判的な意見も一つも浮かばなかった。これから自分の人生の中で選択をしていくことは数えきれないほどであるが、どのように選択していくか、どのように自分自身を保っていくかなどを深く考えさせられた時間であった。ぜひまたお話させていただきたいと強く思う。

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2. KURATA PEPPER(カンボジア)

   国際学部 国際社会学科 2年 奥崎 友美

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【学んだこと】

私が今回の実習で学んだことは、海外で働く、海外で起業するということである。

実習期間の中で、コッコン市にある契約胡椒農園に訪問させて頂いた。そこで働く農家の方は、もともとの農園から独立し今では自分で畑を作って経営している。子供は将来大きくなったら父の農園を経営したいと話していた。その時に私は、持続可能な農業を根付かせることの重要性に気が付くことができた。倉田さんがおっしゃった言葉の中で一番印象に残った言葉は、「使えないものはなにもない」という言葉である。外から持ってきたものをその地に根付かせるのではなく、もともとその地にあったものを外へ発信し復興へと役立てることが重要だと感じた。

また、カンボジア人のスタッフの方々に時間を頂き、インタビューを行った。4人とも共通して話していたことは、毎月の給料が安定して支払われるので家族を養えているということ、クラタペッパーで働いている経験は、将来の自分の夢のためにもとても良い経験になっていることであった。印象的だった言葉はマネージャーのリダさんの言葉である。リダさんは学校を途中で退学し、クラタペッパーで働き始めた。働きながら英語やパソコン技術を独学で勉強し、選別作業員からマネージャーまで昇格し続けた方である。私がなぜ15年間もここで働いているのかと聞くと、ここではチャンスが与えられるから、だから働いている、とおっしゃっていた。

クラタペッパーがカンボジアに還元しているものは仕事という目に見える形の援助であり、それは決して刹那的なものではなく長期にわたって現地の人々に利益をもたらすものであると私はこの実習を通して学ぶことができた。そしてそのことは海外で働く、起業するということの目的の一つであるべきであると感じた。

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3. ラオスのこども(ラオス)

    国際学部 国際社会学科 3年 落合 瑞穂

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【学んだこと】

志望動機に、「貧困国」という言葉を何度か使用し、貧しい国というイメージを勝手に抱いていたが、実際に現地で過ごしてみると、野口さんがおっしゃっていたように子どもたちは皆スマートフォンを使用していたり、清潔な飲食店が並んでいたり、自分の想像していたよりずっと豊かだったので驚いた。また、2週間子どもたちと一緒に過ごして、新聞を読んでいる子が多くいたり、毎日図書館へ来て本を読んでいたりする子を見て、日本の子どもたちより学ぶことに興味をもっていて、意欲的である印象を受けた。この様子を見て、ラオスのこどもが目標としている図書活動を通しての教育水準の向上は活動が行き届いている範囲では達成されているのではないかと感じた。

今回は首都であるビエンチャンにしか行っていないからこのような印象を抱いたが、電気の通っていないような村の方へ行ったらまた違った感想を持っていたかもしれない。

2週間事務所に通って、のんびりとした仕事のスタイル、あたたかい人柄のスタッフさんたちのなかで過ごして、自分の中の仕事に対するイメージと随分異なっていたので仕事のなかにも様々なスタイルがあるのだなあと思った。

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4. 独立行政法人国際協力機構 スリランカ事務所(スリランカ)

   国際学部 国際文化学科 4年 松原 奈々

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【学んだこと】

実習先で学んだことは「貢献すること」の難しさである。日本を出発する以前まで、国際協力に漠然とした憧れを抱き、将来的にはその分野で働きたいと考えていたが、実際にJICAスリランカ事務所やPARCICに訪問し、「貢献すること」や「国際協力の分野で働くこと」がいかに難しく、憧れだけでは務まらないかを痛感した。

例えば、いわゆる途上国であるスリランカの生活は、日本のものとは大きく異なる部分も多く、些細なことでも不便を感じることが多かった。そのため、体調管理が不十分となり、業務に支障を出してしまったことがあった。一方で、現地で働く方々は、スリランカでの生活に適応し、体調管理も十分に仕事に向き合っておられた。このことから、社会人と学生の責任感の違いを学んだし、国際協力の分野で働く上で、常に万全の態勢を整えておくことが間接的にも支援対象者への貢献につながっているのだと学ぶことができた。

また、JICAスリランカ事務所の方々は、滞在期間のわずかなインターン生に対しても、報告会等で議論し、意見を求めてくださったことが印象的で、業務に正面から向き合う姿勢を学ぶことができた。

そして、ドナー機関であるJICAとNGOであるPARCICの仕事内容の違いを学んだ。PARCICの業務は、支援対象者と接する時間が業務の大半を占めており、支援対象者が生活するコミュニティーで、住民らと協力関係を築いていることが分かった。また、JICAと異なり、事務所には、日本人スタッフよりもナショナルスタッフの方が多い。そのため、日本人スタッフはシンハラ語やタミル語を使いこなしていた。

一方JICAスリランカ事務所では、比較的に日本語と英語での会話が中心で、現地語を話すスタッフはほとんど見られなかった。中には、日本語を話すナショナルスタッフもおり驚いた。また、JICAスリランカ事務所には、男女の職員が半々程度おり、女性職員の多くが育児と仕事の両立をされていたことが分かった。職員の子どもが、事務所に訪れ、同僚らと親しくする様子を間近に見て、非常に働きやすい職場であることがわかった。また、JICAはよりナショナルなレベルで間接的に支援を行い、PARCICはよりローカルなレベルで直接的に支援を行うのだと実感できた。だが、JICA職員の方がPARCICの事業を手伝うなど、決してオフィス内でのやり取りで終わってしまうのではなく、相互に助け合っている場面もあり、ドナー機関とNGOとの友好関係の維持も重要な点であると学んだ。